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今回より東昭史(あずま・あきひと)さんによる、フラワ−エッセンスの解説と神話からみたエッセンスの特徴などの素敵なエッセイをお届けします。
今回は「Aspen(アスペン)」です。
◆アスペン Populus tremula L.
【調和された状態】
 信頼感と安心感。
  未知なるものに立ち向かう強さ。

【バランスを欠いた状態】 
  漠然とした恐れや不安。悪夢にうなされる。
【節分  音と匂いで厄払い 】
春の到来は2月4日の立春からですが、古来、その前日の節分には、軒下にヒイラギとイワシの頭を飾り、豆をまいて、鬼を追い払う行事が行われてきました。イワシの頭は悪臭で鬼を追い払い、ヒイラギや豆が使われるのは、燃やすと激しい音を立てることから、音で鬼を驚かせて追い払おうとしたのが、その由来ではないかという説があります。
【アスペン  音を立てて震える木 】
フラワーエッセンスが作られる植物の中で、音を立てる植物としては、バッチのアスペンがあります。もちろん、アスペンが音を立てるのは、厄払いのためではありません。それは、葉が震えることによります。アスペンの葉は、葉と枝をつないで支える葉柄(ようへい)が長く、そのため微かでも風が吹くと葉が大きく揺れて擦れあいます。その時、さわさわと音を立てます。

アスペンは和名をヨーロッパヤマナラシと言いますが、ヤマナラシ(山鳴らし)の名前の通りに音がするのです。また、アスペンは学名を Populus tremula といいますが、種小名の tremula はラテン語で「動きやすい、ふるえる」の意であり、その特徴をよくあらわしています。日本では、この Populus という属名からきたポプラの名で親しまれています
ポプラにまつわる神話その1  ゼウスのスプーンを盗んだポプラ
アスペンなど、ポプラの仲間に関しては、いくつかの神話があります。
ギリシャ神話では、ゼウスがスプーンを失くした時の話しがあります。スプーンを何本か失くしたことに困ったゼウスは、側近くにおいて寵愛していたガニュメデスに命じて、森の樹木をたずねて探させました。

ガニュメデスは、森のオークやビーチ、エルムなどをたずねてまわるのですが、あらぬ疑いを着せられた樹木の怒りを買い、行く先々で散々な目にあってしまうのでした。やがてポプラの樹に出会いたずねたところ、ポプラは「隠し事など何もない」と、その枝を揺すって上げたのですが、なんとスプーンがバラバラと落ちてきて、盗みが発覚したのでした。不安におののくポプラを後にして、ガニュメデスはゼウスのもとに戻ったのですが、スプーンを盗み偽ったポプラに対して、ゼウスは罰として永遠にその枝を上にあげたままでいるようにしたそうです。
ポプラにまつわる神話その2  ポプラの震える理由
キリスト教でも、いくつかの神話があります。
ヨセフとマリアがヘロデ王の手から逃れる最中、他のすべての樹は聖家族に対して首を垂れたのに、ただポプラだけは頑として首を垂れませんでした。それに対して、イエスが一瞥を与えたところ、ポプラは自責の念にかられて震え出し、いまだに震え続けているのだと言われています。

また、ポプラが震えるのは、イエスをはりつけた十字架がポプラの幹から作られ、聖なる血が注がれて以来震えるようになったという話や、ユダが首を吊るのにポプラを選んだことに対して怒りで震えているという話もあります。
神話に見るアスペンの質
いずれの神話も、神聖なるものを畏れぬ態度や、それを咎められたことに対する罪意識、あるいは神罰への恐れといったことがテーマとなっています。

これらは、アスペンのフラワーエッセンスの質である、理由の説明できないもの、未知なるもの、あるいは目に見えないものに対する、漠然とした恐れということと、どこかつながりがあるのではないでしょうか。この中で、罪意識については、アスペンのフラワーエッセンスの質においてあまり語らることはありません。しかし、理由の説明できない恐れと呼ばれるものの中には、潜在的な部分での罪意識と関わるものもあるかもしれません。
蘇民将来符  ヤマナラシで作る厄除けの護符
アスペンは日本に自生しませんが、日本に自生するアスペンの仲間に、ヤマナラシ Populus sieboldii があります。このヤマナラシは、蘇民将来符の原木として利用されています。

蘇民将来符とは、蘇民将来という情け深い者が、巨丹長者に拒絶された旅人に宿を貸し、その言葉に従って、柳の木に「蘇民将来子孫人也」と書き、これを携帯して門戸にかかげることで、その子々孫々が災厄を免れて繁栄したという説話に由来して、以来、厄除けの護符として用いられているものです。
アスペンの仲間から、厄除けの護符が作られているというのは、とても興味深いことです。
鬼神もこれを避く
アスペンのフラワーエッセンスは、理由のわからない漠然とした不安や恐れに対して、おののく心をなだめ、安心感をもたらしてくれます。

そして、目に見えぬ世界や未知なるものに対して向かっていく強さをもたらしてくれます。本来、神をも畏れぬ大胆さを持つアスペンのように、鬼も怖れず、神罰も怖れず、むしろそれらに立ち向かって力強く生きていくことで、「鬼神もこれを避」けるのではないでしょうか。
東 昭史(あずま・あきひと)氏プロフィール
日本アロマテラピー協会認定インストラクター
フラワーエッセンスプラクティショナー
生活の木 Herbal Life College 講師
アロマテラピー業界での勤務を通じて、フラワーエッセンスに出会う。
以来、バッチホリスティック研究会や、ハートサポートシステムなどで、
バッチフラワーを中心とするフラワーエッセンスを学ぶ。
フラワーエッセンスを通じて植物たちの祈りを聞き、
その声を必要とする人たちに伝えることを願い、活動している。
参考文献 及び 参考サイト
『植物と行事』 湯浅浩史 朝日選書
『花の神話と伝説』 C.M.スキナー 八坂書房
『樹に咲く花 離弁花(1)』 山と渓谷社
『フラワーエッセンス・レパートリー』
  パトリシア・カミンスキ/リチャード・キャッツ共著 BABジャパン

蘇民将来符−その信仰と伝承

http://museum.umic.ueda.nagano.jp/somin/
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