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東昭史(あずま・あきひと)さんによる、フラワ−エッセンスの解説と神話からみたエッセンスの特徴などの素敵なエッセイをお届けします。
今回は「cherryplum(チェリープラム)」です。
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◆チェリープラム
Prunus cerasifera Ehrhart |
【調和された状態】
心の落ち着き。自制心。
【バランスを欠いた状態】
理性を失うことへの恐れ。
狂気に駆り立てられる。 |
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【サクラ 日本の春 】
日本の春といえば、誰もが連想するのはサクラと花見ではないでしょうか。あたたかで過しやすい日が多くなり、春の訪れを 実感するようになると、テレビや新聞ではサクラの開花予想が連日のように報じられます。東京周辺では、3月下旬から4月上旬にかけて、ソメイヨシノ
Prunus x yedoensis が満開になります。振り返れば、卒業式や入学式など、人生の節目をサクラとともに迎えた記憶もあることでしょう。
この時期には、春の到来を告げる多くの植物が開花期を迎えます。菜の花もソメイヨシノと時を同じく満開です。一面の菜の花に囲まれつつ、桜吹雪が舞う中を歩いていると、その景色は到底この世のものとは思えず、古来伝わる桃源郷とはこのような世界かと思うことでしょう。しかし一方で、梶井基次郎の短編「桜の樹の下には」のように、美の裏側に死の世界を垣間見る人もいます。サクラの美しさ秘められたものとは、一体何なのでしょうか。 |
【人を酔わせる魔力 】
世界中で「花見」をするのは日本人だけであり、「花見」は日本独自の文化であると述べるのは、国際日本文化研究センター教授の白幡洋三郎氏です。氏の定義する「花見」とは、「群桜(ぐんおう)」「飲食」「群集」の三要素からなります。
「群桜」とは、一本や数本の木が生えているのではなくて、数多くの木が群れて咲いていることです。さらに必ず飲食を伴い、しかも大勢の人手がおしかけることが、氏の言ういわゆる「花見」です。
ヨーロッパの人たちも、当然ながら美しい花を見て楽しむ習慣はあります。ちなみに、ヨーロッパではライラックやマロニエが人気だそうです。また、ヨーロッパにもサクラはあります。しかし、「花見」はしないそうです。
何千何万ものサクラが一斉に開花する下で、大勢の見物客が食事をし、酒を飲み、大騒ぎをしている様子は、日本の春の風物詩と言えるでしょう。サクラの木の下には、その美しさに酔いしれて、理性を失い、狂おしくさえある人々が群がります。サクラを見にやってきたというよりは、まるでサクラに魅せられて引き寄せられたかのようです。そこには、サクラの持っている、人を酔わせる魔力を感じずにはいられません。 |
【月と脳とサクラの木 パラケルススの宇宙観】
中世の錬金術師パラケルススは、ミクロコスモスとマクロコスモスの関係を明らかにした、独自の宇宙観を持っていました。パラケルススによれば、天体と植物、鉱物、人間の肉体は、それぞれ対応していました。
パラケルススは、『奇蹟の医の糧』の中で、以下のように述べています。
鉄とは何か。それは火星にほかならない。火星とは何か。それは鉄にほかならない。つまり、その両者は鉄もしくは火星である。イラクサもそれと同じものであり、樹脂(第四のテレニアビン)もそれと同じものである。すべては一つである。(『奇蹟の医の糧』
p.40)
セイヨウイラクサ(ネトル)には、鉄分が豊富に含まれていて、貧血の女性などに使われるハーブであることを思えば、パラケルススの宇宙観が決して単なる空想ではないことがわかります。では、サクラは何に対応しているのでしょうか。パラケルススによれば、それは月と脳に対応しているのです。 |
【月の狂気、サクラの狂気】
パラケルススは、脳を「ミクロコスモスの月」と呼びました。英語の狂気 lunatic は、ラテン語の月
luna が語源です。月が人を狂気に駆り立てることは、西洋で長く語られていました。日本でも、狼男の伝説は有名でしょう。イギリスでは、19世紀に「月狂条例」という法律が施行されました。これは、月の相によって狂気を起こす人に、その発作が起きないよう予防するための法律です。さらには、現代でも満月の日には精神異常による犯罪が多いことが指摘されています。
このような月と脳の関係を、サクラに当てはめてみると、サクラの魔力の理由が見えてくるのではないでしょうか。美しい花は、日本に数多く存在します。しかし、「花見」と言えば何と言ってもサクラであり、あるいはウメ
Prunus mume やモモ Prunus persica などでしょう。これらはいずれもバラ科サクラ属の植物です。たとえサルスベリ
Lagerstroemia indica の花が美しくても、その下で「花見」をして酒を飲む人は稀です。やはりサクラは人の脳を酔わせて狂わせるのです。 |
【心の平静と自制心をもたらす】
バッチフラワーのチェリープラムは、バラ科サクラ属です。このフラワーエッセンスは、狂気に駆り立てられる時に助けになります。自分でも悪いことと知りながら、それをせずにはいられない衝動に駆られる時や、自分が何をしでかすかわからないような、自制心を失う恐怖をおぼえる時になどに使われます。様々な中毒症状や自傷行為、自殺願望、摂食障害などにも症例があります。これらはいずれも、月の狂気であり、サクラの狂気なのかもしれません。
このような時に、チェリープラムのエッセンスは再び理性を取り戻し、心の平静と自制心をもたらしてくれます。また、チェリープラムはレスキューレメディにも含まれていて、緊急時に同じような働きをしてくれます。「花見」でハメを外さないために、チェリープラムやレスキューレメディはサポートしてくれることでしょう。 |
| 東 昭史(あずま・あきひと)氏プロフィール |
日本アロマテラピー協会認定インストラクター
フラワーエッセンスプラクティショナー
生活の木 Herbal Life College 講師
アロマテラピー業界での勤務を通じて、フラワーエッセンスに出会う。
以来、バッチホリスティック研究会や、ハートサポートシステムなどで、
バッチフラワーを中心とするフラワーエッセンスを学ぶ。
フラワーエッセンスを通じて植物たちの祈りを聞き、
その声を必要とする人たちに伝えることを願い、活動している。 |
| 参考文献 及び 参考サイト |
『檸檬』 梶井基次郎 新潮文庫
『花見と桜』 白幡洋三郎 PHP新書
『月世界大全』 ダイアナ・ブルートン 青土社
『パラケルススの生涯と思想』 大橋博司 思索社
『奇蹟の医の糧』 パラケルスス 工作舎 |
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