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東昭史(あずま・あきひと)さんによる、フラワ−エッセンスの解説と神話からみたエッセンスの特徴などの素敵なエッセイをお届けします。
今回は「whitechestnut(ホワイトチェスナット)」です。
◆ホワイトチェスナット
  Aesculus hippocastanum L.
【調和された状態】
 冷静さ。客観的になれる。
  問題を解決する視点に立つ。

【バランスを欠いた状態】 
 心配事が頭から離れない。
  同じ考えを繰り返す。
【マロニエ  ヨーロッパの人たちが好む花 】
日本人が、その花を愛でて、開花を待ち遠しく思うのは、何と言ってもサクラでしょう。では、ヨーロッパの人たちはどうでしょうか。彼らが「花見」をしないことは、前回のチェリープラムのところでも述べました。
しかし、洋の東西は異なれども、花を見て楽しむ気持ちに変わりはありません。春も本番となり、彼らが最も心待ちにしている花のひとつが、マロニエです。

マロニエは、ギリシア北部から小アジアを原産地とする、トチノキ科の落葉高木です。ヨーロッパに入ってきたのは、16世紀といわれています。フランスには 1615年、イギリスにも同じ頃に伝わってきたそうです。公園樹や街路樹として植えられていて、ヨーロッパでは特にパリの街路樹が有名です。

イギリスでは、5月から6月にかけてマロニエが満開になる日曜日を "Chestnut Sunday" として、各地の公園などでイベントが行われます。イギリスの人たちが、いかにマロニエを愛好しているかが、うかがえます。

しかし、そのわりに神話や伝承の類が少ないのは、ヨーロッパに広く植えられるようになってから、それほどの年月を経ていないからでしょうか。そこで今回、マロニエのエッセンスであるホワイトチェスナットについては、その植物の特徴からエッセンスを見ていきたいと思います。
【「馬栗」という名前について 】
マロニエは、英名を horse chestnut と言います。horse は「馬」、chestnut は「栗」ですから、合わせて「馬栗」。マロニエの学名も同じ意味で、種小名の hippocastanum は、hipp(o)=「馬」と castanum=「栗」の合成語です。さらに、日本でもマロニエの日本種であるトチノキを一名「ウマグリ(馬栗)」と言います。

この「馬栗」の名前の由来には諸説あります。そのひとつに、葉痕が馬蹄形だからという説があります。マロニエの枝には、前の年に葉のついていたところに痕が残るのですが、その形が馬蹄のような形をしていて、しかも釘跡までついているように見えるのです。

古くから伝わる植物の薬効には、その植物の外見に刻印された特徴から探求されたものが少なくありません。マロニエの場合、特徴と薬効の関連はわかりませんが、その実は馬をはじめとする家畜の病気に効くと考えられていました。日本でも、トチノキの実の浸出液が馬の眼病を治すといわれていました。「馬栗」という名前には、マロニエの特徴をあらわす、様々な意味がありそうです。
【花の形に見るマロニエの気持ち】
では、その花の特徴表示には、どのようなものがあるのでしょうか。マロニエの花は、先に述べたように、5月頃に咲きます。花に先立つことひと月前、冬芽から、花がまとまってつく花序と葉が展開します。花序は長さ10〜15cmほどで、全体が円錐形をしています。ひとつの花序には数十個の花がついています。花びらは白色で4枚、花の中央が赤みがかっています。

マロニエには、2種類の花が咲きます。ひとつは、雄しべと雌しべが共にある両性花、もうひとつは、雌しべが退化している雄花です。両性花は、花序の下の方にわずかばかり咲くだけで、ほとんどの花は雄花です。当然のことながら、雄花は実を結ぶことはありません。つまり、花序は実を結ぶことのない花でいっぱいなのです。これは、ホワイトチェスナットを必要とする人が、考えても仕方がないこと、つまり実を結ぶことのない考えにとらわれて、頭の中がいっぱいであることを象徴しています。

この花の形から、さらにマロニエの気持ちを探っていきましょう。何故、マロニエはたくさんの雄花を咲かせるのか。それは、わずかな両性花だけだと、まるで目立たないからです。花が目立たなければ、昆虫たちが訪れてくれません。昆虫たちが訪れてくれなければ、花が実を結ぶことはありません。マロニエは、そのことをつねに心配しています。花をたくさんつけているのはその解決策で、昆虫たちの目印になるように工夫して、目立たせているのです。

しかし、次代の生命を生み出す両性花をたくさんつけるのは、多大なリスクを伴います。すべての花が実を結んでしまったら、自分の生命エネルギーを消耗することになります。しかも、一つひとつの実が大きすぎるマロニエには、その重さを支えることができません。あれこれ考えた結果、マロニエは雄花という飾りの花をたくさんつけることにしました。これなら、目印になるとともに、エネルギーも消耗せず、実の重さに耐える必要もありません。こうしてまた、マロニエは一つの心配事から解放されたのでした。

このように、花の形ひとつをとってみても、マロニエには心配事が尽きません。いろいろなことを考えているのです。煩悩で頭がいっぱいになりながらも、必死に自力で問題を解決しようとする姿は、ホワイトチェスナットを必要とする人の姿と重なるのではないでしょうか。
冷静さと客観的な視点】
ホワイトチェスナットのエッセンスは、心配事に頭を悩まし、同じことばかりを考え続けてしまう人に、心の静けさをもたらしてくれます。冷静になり客観的になることで、問題を解決するための視点に立つことができるように助けてくれます。マロニエが、昆虫たちが訪れてくれない理由を、自分の花が目立たないためだと知ったのは、客観的な視点から自分の姿と置かれた状況を眺めることができたからです。ホワイトチェスナットのエッセンスは、こうした視点に立つことから、様々な気づきをもたらしてくれるでしょう。

前回のチェリープラムのところで触れたサクラの花が人を惹きつけて狂わすように、今回のマロニエの花にも、人を惹きつける魅力と、その一方で人の頭を狂わせる何かがあるのかもしれません。
東 昭史(あずま・あきひと)氏プロフィール
日本アロマテラピー協会認定インストラクター
フラワーエッセンスプラクティショナー
生活の木 Herbal Life College 講師
アロマテラピー業界での勤務を通じて、フラワーエッセンスに出会う。
以来、バッチホリスティック研究会や、ハートサポートシステムなどで、
バッチフラワーを中心とするフラワーエッセンスを学ぶ。
フラワーエッセンスを通じて植物たちの祈りを聞き、
その声を必要とする人たちに伝えることを願い、活動している。
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